東洋医学は西洋医学とどう違うのか。
ごくごく簡単に説明します。
西洋医学は身体の中で実際に異常がある「部分」に着目し、投薬や手術などで原因を取り除くという対処が主です。
東洋医学は人の身体を宇宙、自然環境と同じような仕組みを持つという考え方をします。人の身体は、外界世界からの影響も受けますが、体内で起こっていることを統一体として、人の身体全体で起こっている現象をとらえます。
例えば、胃がムカムカするという症状からは、精神的ストレスなどの影響で「気」(東洋医学では「気」という概念が非常に重要なものとなります。あとでまたご紹介しますね)がうっ滞し、普段体内全体を巡っているものが巡りづらくなり、それが飲食物から栄養に転換する機能に影響して胃の辺りが張り、食欲がなくなる。食欲がなくなったことで…と他への影響も考えていくというような見方をします。この場合、西洋医学では胃薬を飲むという対処になると思いますが、東洋医学ではストレスとそれによって受ける気の滞り、そして飲食物を栄養に転換する力の弱り方にも着目し対処します。
わかりやすくイメージで説明すると、低気圧によって前線が発生し、その前線が高い山にぶつかってそれ以上先にはいけず、その前で沢山の雨や雪を降らすが、その先は空っ風が吹くという自然界での現象を人間の体内で起こっていることとして考えてみます。
身体の中で起こった、気のうっ滞や硬結(凝りや組織の癒着でできる塊)によって、ある場所に自然界の山のようなものができてしまい、普段流れるものがそこでせき止められてしまいます。その結果、むくみ(水分の偏り)や停滞による熱の発生が起こり、それが原因で頭痛や皮膚の痒み、湿疹などが出るということが起きてきます。
そのような症状に対して鍼灸でできることとして、まずは凝りや硬結を取り、気の巡りをよくする穴(ツボ)を鍼や灸で刺激し、内的信号を送ることで身体を動かします。その後、食物を栄養分に転換する作用を強化する穴(ツボ)に信号を送り、動かしていくという対処ができます。
東洋医学には、長い歴史の中で経験的に育まれた治療学説(陰陽学説、五行学説)や診断法があり、各人が持っている自然治癒力を漢方、鍼灸、按摩を使って、内的な力を賦活していくことで各人の健康を支えていきます。
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