アダルトチルドレン(Adult Children)とは、感情的なサポートが不足していた家庭や、アルコール依存、精神的な問題を抱えた親のもとなどの機能不全家庭で育ったために、子供として必要な養育を受けらないまま成人になってからもその影響(自尊心や自己肯定感の低さがベースにある)を受け続けている人々を指します。
ACの方に現れやすい症状
- 自己評価の低さ: 自分に自信が持てず、自分を過小評価する傾向がある。他人と比較して劣等感を抱くことが多い。
- 感情表現の困難: 感情を適切に表現できず、怒りや悲しみを抑え込んでしまうことが多い。その結果内面的なストレスが大きくなりやすい。
- 対人関係の問題: 親密な関係を築くことが難しい、または過度に依存することがある。
- 責任感の過剰: 他人の感情や問題を背負い込む傾向がある。
- 完璧主義: 自分や他人に対して高い期待を持ち、失敗を恐れる。完璧ではないことに強い不安を持つ。
- 恐れ/不安の高さ:新しい状況や変化に対して強い不安を感じることがある。人によっては親からの承認を求める気持ちが強い。
- 過去のトラウマの影響:幼少期の経験からくるトラウマが影響し、感情的な問題や対人関係の問題が続くことがある。
※アダルトチルドレンの方は上記のような症状が知らず知らずに身についており、結果として人間関係やご自身の思考や行動に問題を抱えたり、さまざまな精神疾患を罹患してしまうことがあります。抑うつや不安、衝動的行動、パニック、不眠、摂食障害など多岐にわたります。
ACの背景(家庭環境)
- アルコール依存症や薬物依存など: 親がアルコール依存症や薬物依存症で、家庭内の不安定さにより、子供は安全感/安心感が持てない。
- 精神的な問題: 親がうつ病や他の精神的な問題を抱えており(自覚の有無は問わない)、子供は年齢相応の適切な感情的サポートや養育を受けられない。
- 過干渉または無関心: 過干渉な親や無関心な親により、子供の発達に応じた自己成長の機会が妨げられる。
※多くのアダルトチルドレンの方は、機能不全で子供として守られなかった養育環境が日常化し、そのことが今の自分にどれだけの影響を及ぼしているかについて気づかれていないことがあります。過酷な記憶のため、ご自身お一人でひも解くのは負担がかかります。そのような際には専門家にご相談されることをお勧めいたします。当院でもトラウマ治療を含めたカウンセリングのご用意がございます。
ACの方への心理療法
ACの方が抱える精神的/行動的問題に対してできるアプローチをご紹介します。
- 認知行動療法(CBT): 自分の感情や行動を観察し、問題となる思考を特定。非現実的な思考パターンを認識し、より適応的な考え方に置き換えることを目指します。
- マインドフルネス: 瞑想や呼吸法で現在の瞬間に注意を向け、感情や思考を受け流すことで、ストレスや不安を軽減し、感情の浮き沈みに対する耐性を高めます。
- トラウマ治療: 過去のトラウマを扱い、現在の感情的問題を軽減させることを目指します。
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